自然独占(しぜんどくせん、natural monopoly)とは、制度などの人為的な要因ではなく経済的な要因によって、規模の経済が働くとき自然に発生する独占を指す。

初期投資などの固定費用が大きく、生産が規模の経済を持つとき、長期平均費用曲線が右下がりになる。このような産業では、複数の企業で需要を共有した場合には固定費用がそれぞれの企業で必要となるため非効率的となり、1つの企業が需要を独占した方が総費用が小さく効率的な生産となる。平均費用曲線が右下がりのところで需給均衡が実現するような産業では、平均費用が常に限界費用を上回っているため、市場競争に基づいて限界費用と一致するように価格が決定すると参入企業は赤字となる。そのため、参入は抑制されることになり、結果として自然に独占が発生する。上述の赤字以上に、その産業が存在することによる社会全体の利益が大きい場合には、1社による独占を許可しつつ、政府が価格規制を行うことが最適となる。初期投資が莫大な鉄道会社(特に赤字路線の多いJR北海道)や電力会社郵便(日本郵便)が自然独占の代表的な例である。

自然独占は不特定の1社に独占させる根拠となるが、特定の事業者を認可する根拠とはならない。また、事業本来の採算性を裏づけることが難しい。例えば原子力発電事業の場合は、電力の安定供給やエネルギー安全保障に関わるため、日英で自然独占の様相を呈しながら(寡占に近い)、差額決済契約総括原価方式によりかかる費用が全需要家へ電気料金として転嫁されてきた。(※なお、このことは原子力発電が経済性を欠くという意味ではないので注意を要する。)

このほか、水道事業や郵便事業等、効用が高く代替の限られるものは需要家もある程度赤字の転嫁を許容する。

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